『サガミハラに魅せられて』相模原市のプロサッカークラブ・SC相模原

神奈川県には6つのJリーグチームがあります。
東京には3チーム、サッカー王国と呼ばれる静岡でも4チームです。

このことからも、神奈川のサッカー人口の多さとサッカーを愛する人々の多さがわかります。

トップカテゴリーのJ1に3チーム
横浜F・マリノス
川崎フロンターレ
湘南ベルマーレ

J2には横浜FC

そしてJ3の2チーム
Y.S.C.C.横浜
SC相模原

その中で今回は、相模原市のプロサッカークラブ・SC相模原を紹介します!

SC相模原はどんなチーム?

SC相模原(エスシーサガミハラ)は2008年に発足し、神奈川県社会人サッカーリーグ3部から活動を開始。2014年にJ3に参入し、2021年シーズンには初のJ2昇格を果たしました。惜しくも降格となりましたが、再びJ2昇格を目指し現在J3リーグで奮闘中のクラブです。

クラブの代表は元Jリーガーの望月重良氏。名古屋グランパスなどで活躍し、日本代表としてもプレーした選手でした。

SC相模原の魅力は?

始まりは相模原にある魚のおいしい小料理屋だったそうです。

店を訪れた望月さんが、サッカー好きの常連客からの「相模原でJリーグを目指すようなサッカーチームをつくりたい!」という熱意に心動かされ、地域の人たちとゼロからつくりあげたサッカークラブがSC相模原です。

創設以来、高原直泰、川口能活、稲本潤一といった元日本代表選手も在籍しました。子供向けのサッカー教室を開催したり、地域のお祭りに参加するなど「地域密着・社会貢献・青少年育成」を理念とした活動にも力を入れています。

現在の本拠地は相模原ギオンスタジアムですが、収容人数が基準に満たず、長らくJ2ライセンスを取得できませんでした。
(※ライセンスがないとJ3で優勝してもJ2に昇格できない)

しかし、2019年に新スタジアムの建設計画を発表し、選手たちも相模原駅北口のスタジアム整備を求める署名活動を行いました。2021年のクラブライセンス申請にあたって、この新スタジアム建設計画を元に「施設基準の例外規定(5年以内のスタジアムの新設)」適用申請を提出。これが認められてJ2ライセンスを取得することができ、念願のJ2昇格を果たしました。

好きこそ物の上手なれ

SC相模原を知るきっかけは、ちょうどJ3に参入した2014年、子供が通う幼稚園のサッカークラブにSC相模原の選手がコーチとして来ていたことからです。プロの選手に教えてもらう機会があるというのはありがたいことでした。

その反面、サッカー選手の現実を知ることにもなったのです。

地域貢献活動の側面もありますが、多くの選手たちが地域の幼稚園やジュニアのクラブチームにコーチとして在籍し、いわば「バイト」をしているわけです。現実問題、プロサッカー選手とはいえJ3というカテゴリーでは、サッカーだけでは生活ができないのです。

ほとんどの選手がそのような状況であるのがJ3の現実。どんなカテゴリーであってもサッカーが好きだから現役を続ける選手、結婚して子供もいる場合は若いうちに引退してセカンドキャリアを模索する選手もいます。

SC相模原の選手は子供に夢を与える憧れの存在であり、現実の厳しさを教えてくれるコーチでもありました。子供にとってはJリーグの試合を観に行くというより、身近なコーチが出ている試合を応援しに行く感覚だったと思います。

相模原市には多くのジュニアチームがあります。そのチームのコーチたちは、ほとんどがコーチ業だけで生活しているわけではありません。他に仕事やアルバイトをしながら子供たちにサッカーを教えています。

そんなサッカーへの情熱を持ち続けている人たちが相模原には多いのです。

相模原からプロになるような選手が育ってほしい、サッカーを通して人間的にも成長してほしい。

それが指導者の方々の夢であり、目的でもあります。

プロサッカー選手を経験した指導者ほど「小学生時代はサッカーの楽しさを知ればそれで良い」と言います。まず大前提としてサッカーが大好きであること。その気持ちを持ち続けることができなければ、挫折した時にすぐサッカーをやめてしまうかもしれない。だから子供たちにはまず、サッカーは楽しいものだと教えているのです。

才能だけではなく「好きこそ物の上手なれ」なのです。

581人の熱量

先日、ホーム戦に行ってきました。

平日(木曜)開催、夜7時からのホームゲーム。
相手は同じ神奈川のY.S.C.C.横浜。ダービーマッチです。

たとえば海外では、スペインの2大都市であるバルセロナとマドリードを本拠地とするFCバルセロナとレアル・マドリードの対戦が有名です。「エル・クラシコ(伝統の一戦)」と呼ばれ、世界で最も注目を集める白熱の一戦となります。選手や監督はいつにも増してライバル意識が高まり、サポーターにとっても絶対に負けられない戦いです。

そんな、まさに神奈川ダービー。神奈川の2大都市、横浜と相模原の戦いなのです。


先日のJ1リーグ、日産スタジアムでの横浜F・マリノスと川崎フロンターレの試合では、20433人が詰めかけました。

対してこの日、相模原ギオンスタジアムに集まった観客は581人。


この数字をどう捉えますか?

少ない、と思いますか?

わたしはこう思いました。

「この試合を今日、生で見たいと思う人が他に580人もいるんだ」


まばらな客席でも、ほとんどの人がしっかりとレプリカユニフォームを着こみ、ふと横を見ると女性がひとりビール片手に観戦していました。父親と息子、年配の夫婦、多くの子供たちがいました。

今はDAZNでも試合が生配信されます。にもかかわらず肌寒くなった夜風に吹かれ、おじさんもおばさんも女性も子供たちも、明日も仕事や学校がある中、スタジアムで夜の9時までSC相模原を応援するその姿に、確かな「熱」を感じたのです。

試合は現在最下位のY.S.C.C.横浜に対しスコアレスドロー。SC相模原は18チーム中15位と低迷しています。この試合の後、高木琢也監督が解任されました。観客を沸かせるようなプレーを期待する中、放ったシュートはわずか5本。再びJ2に昇格するには厳しい戦いが続いています。

それでもスタジアムに足を運んだサポーターは試合後、選手たちに拍手を送りました。

「がんばれ」との想いを込めて。

サガミハラにはSC相模原があります。
女子チームのノジステラ神奈川相模原もあります。
ジュニア世代には40チームものジュニアチームがあります。

情熱を持った人たちがたくさんいます。
そこで育っているサッカー少年がいます。

サガミハラにはサッカーへの「熱」があるのです。

サガミハラの未来に、あなたも魅せられてはいかがでしょうか?

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