いつ頃からそうなってきたのかはっきり覚えていないが、
「アニメが好き」であることに対する抵抗が薄くなってきているように感じる。
お洒落なカフェで、待ち合わせ場所で、公園で、場所を限定することなく観ることができるようになった。
近年ではありがたい事に、ネットサービスに加入すれば24時間好きな時間に好きなアニメを観ることができ、R指定が無ければ年齢問わず見ることができる。
多くの人がアニメを観るようになり、市民権を得たのだと言われるようになった。
「趣味はアニメです」と堂々と言えるようになった。
もはや、アニメ好き=(イコール)いわゆる昔ながらのオタク
をイメージする時代ではなくなったと言っても過言ではないのかもしれない。
そんなアニメがもつ、一つの側面について考えた。
アニメのテーマはとても幅が広い。
昔からよくあった魔法アニメやスポーツアニメ、戦闘ものアニメだけでなく、
昨今の技術進歩により描写の可能領域が広がったことも手伝ってか、とにかく多岐にわたる題材が取り上げられている。
自転車のアニメ、キャンプのアニメ、食べ歩き、戦車、競走馬、辞書、クラシック音楽、ファッション、環境問題などなど。
その豊富な種類には目を見張るものがある。
アニメの存在は、昔のようにアニメに興味を持つ一部の人が見るだけのものから大きな変化を遂げたと感じる。
誰かしらの琴線に必ず触れる多様さを持ち、日常のすぐ隣にあるのが当たり前な距離を獲得し、
もはやアニメは、特定の層が見るだけのものではなくなっていると言える。
このように、今では多くの人にとって身近で気軽な存在となったアニメだが、実は、
“アニメだけ”が趣味という人は少ないのではないかと思う。
アニメを観てそれでおしまい、という人がいないわけではない。しかし、
「このアニメ作品の世界観を自分も体験したい」
「もっと深く知りたい」
と考える人が珍しくなくなっている。
原付でキャンプをするアニメを観て原付を買ってキャンプを始めたり、
擬人化された競走馬が出てくるアニメがきっかけで競馬を始めたり、
戦車に乗っているアニメからミリタリーに興味を持ったり。
好きなアニメに出てくる声優さんにはまってしまうパターンもある。挙げたらきりがない。
アニメは、多くの人が観る存在へとなっただけではなく、
観た人をその後、さらにその先へと突き動かす力を持つコンテンツへ変化したといえるのではないだろうか。
人生を豊かにする入り口としての側面を兼ね備えている。
他の趣味との架け橋になりうる懐の広さが、アニメにはあると感じる。
そんな存在を、日々何事もなく当たり前のように視聴者のもとへ届けるのが、
私たちの役目である。
Nabe