親子三代

競馬は「ブラッドスポーツ」と言われている。

強い馬だけが子孫を残す事ができ、競争能力は親から子(仔)、子(仔)から孫へと引き継がれて行く。

競馬ではこれを血統と呼び、競馬新聞の馬名の横には必ず父馬と母馬の名前が書かれており、
レースを予想する際に、とても重要視されている。

引き継がれる能力は、

「走るのが速い」

「持久力がある」

等の運動能力だけではなく、当然性格も引き継がれる。

「怒りっぽい」

「負けず嫌い」

「集中力がない」

人間にも色々な性格の人がいるように、馬にも色々な性格の馬がいる。

私が競馬にはまっていた時期に「サンデーサイレンス」というアメリカから輸入された種牡馬(父馬)がいた。
サンデーサイレンスはアメリカで素晴らしい成績を残し、種牡馬としても期待され日本に鳴り物入りでやって来た。

ちょっと競馬を知っている人なら知らない人は居ないであろう「ディープインパクト」号は、サンデーサイレンスの子供である。

サンデーサイレンスはG1レース(日本ダービーや有馬記念等の国内最高峰レース)で優勝するような子供を
何十頭と残した偉大な種牡馬なのだが、とにかく気性が激しく、強い子供が多い一方で気性が悪く、
騎手の言う事を聞かずに能力を発揮できない子供も多くいた。

それでも強かった子供たちは父馬となり、
現在はサンデーサイレンスの孫や曾孫たちがその能力を引き継いで競馬場を走っている。

さて、話しは変わって

私には7歳の息子と5歳の娘がいる。

息子、娘ともにどこに行っても私に似ていると言われるのだが、最近そんな息子に困っている。

「気難しい」のだ。

変な所で負けず嫌いであったり、ちょっと自分の思い通りにならないと怒ったり。

私が仕事から帰ると、妻と息子が喧嘩状態である事も多々...。

そんな息子の話しを妻が私の母にすると、私の子供の頃にそっくりだと言われる。

私も子供の頃、気難しい性格だったそうだ。

そうなると今度は、妻が私の気難しいエピソードを母に話す。

そうすると、母は母の夫、つまり私の父とそっくりだと言う。

うーむ、どうやら父と私と息子は、気難しいらしい。

まさに親子三代血は争えないといった所か...。

血は争えないといえば、もう1つ妻から父とそっくりだと言われる事がある。

子供の甘やかしだ。

昔、父からこんな事を言われた。

「子供に騙されてやるのも、親の役目だ」

子供は自分が欲しいものや、ゲームコーナーでゲームをやりたい時などに、一生懸命説明してくる。
格好よく言えば “プレゼン” だ。

...自分にも覚えがある。

もちろん子供たちにゲームソフトが欲しいと言われても、そこは流石に買わないが、
100円200円・・・500円くらいだとついつい渡してしまう...。

その度に妻からの冷たい視線を感じるのだが...。

そんな甘やかし(私は甘やかしているとは思っていない!)も父にそっくりだと妻に言われる。

息子が子供を甘やかすかどうかは分からないが、

これから子供たちも成長し、そのうち自分の家庭を築くと思う。

そんな時に子供や孫の、私に似ている話しを肴に酒でも飲める事を楽しみにしつつ、

息子や娘がどんな人間になるのか、

ドンナ人生を送るのか、

「血」だけではないキズナをもって、

しっかり見守っていこうと思う。

Koyaccho

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